地域の風習だけでなく今は増えてきている
位牌を複数作る位牌分けについて解説してみました
位牌は一般的には故人1人対して、1つ用意され作られるものです。
多くは、そのお位牌を跡取りである長男の家のお仏壇などに祀るというのが一般的となっています。
今回解説する「位牌分け」と呼ばれるものは、上記のように故人1人に対し1つのお位牌を用意するのではなく、故人1人のお位牌を、その受け取る人数分用意する形になります。
位牌分けは地域の風習?
位牌分けとは、先ほども解説したように、故人1人に対して1つのお位牌を作るのではなく、故人1人に対し、その子ども達全員に分けるために1つではなく人数分作る事を言います。
もとは地方での風習などとされており、長野県や山梨県、群馬県、静岡県など、中部地方の一部と北関東の一部で行われているものと言われています。
お亡くなりになられた方の子ども全員に位牌が渡され、長男や次男、長女、次女などの区別なく全員に受け渡されますが、これらは既婚者のみで未婚者には配られないとされています。
もちろん、位牌分け自体に問題があるのかというと、そんな事はありません。
位牌はそもそもが、大切な方が亡くなった後に手を合わせて故人を偲び思い返す心の拠り所としても大切なものになります。
そのため、親のお位牌に手を合わせられる機会が子ども全員に与えられるというのは非常に喜ばしい事でもあります。
ではなぜ位牌は1つという概念があるのか
位牌は1つというのは、昔から続いていた家長制度の名残やイメージがあるからという事もできます。
昔はお墓は長男が守る物という言葉があったように、長男は代々受け継いできたお墓に入るという考えが強く残っていました。
そのため、女性も結婚する相手が長男か次男かというのは、昔では非常に重要視されていたと言われています。
今ではそういった概念も特に無く、薄れてきていますし、お墓仕舞いする方も多くいるのが現実です。
また、昔のように家族全員が1つの家に住むというのも現代では少数派です。
両親は地方、子どもは都会といった住環境や家族環境にも変化が生まれてきています。
風習以外でも位牌分けをする家庭は増えています
位牌分けは元は特定の地域の風習だったようですが、今ではライフスタイルの変化に合わせ、位牌分けをする家庭は増えてきています。
実際、管理人がスタッフとして勤務していた際にも、同じお位牌を3つお造りになられ、家族で分けるといった方は多くいらっしゃいました。
今では実家が遠方で、子どももそれぞれバラバラに住んでいるといった環境は珍しくありません。
例えば、ご両親の実家が福岡、長男家が大阪、次男家が東京、三男家が北海道といった可能性は十分にありえます。
そういった場合、位牌が1つだけだと、長男の大阪にしかなく、なかなか他の兄弟は亡くなられた方の位牌に手を合わせるといった事は難しくなります。
一方で位牌分けをしそれぞれの家庭でお仏壇や位牌を用意する事ができていれば、しっかり供養し手を合わせる事ができます。
ただし、他家へ嫁いだ場合は位牌分けはしないとされています。
これは、位牌は仏壇に安置するため、他家のお仏壇に実家の宗派のお位牌を持ち込む事はトラブルの元になるという事もあり、よほどの事がない限りは通常は行わないとされています。
また位牌分けをする際には分けて持ち帰る手前、ただ位牌だけを安置するのではなく、しっかりとお仏壇も用意をし、各種法要などもしっかり行う必要が出てきます。
位牌分けは1人だけで出来るものではありませんから、その供養したいという心は大切にしながら、家族としっかり相談して決めるようにしましょう。
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