三具足の1つでもある仏具の「香炉」
前香炉や土香炉など種類や宗派による選び方の解説

  • 2017.05.30
  • 2020.04.06

仏具

仏具には様々な種類がありますが、実は仏具の中には1つの仏具からさらに細分化されるような仏具もあり、家庭用で置く仏具でどれを選べばと悩ましい問題になりやすいです。

今回の香炉もその1つで、実は香炉と言っても種類がたくさんあります。
前香炉、玉香炉、土香炉、火舎香炉、長香炉、などなど、同じ役割のものもあれば違う役割のものなどもあります。

また、香炉は多少宗派によっても使う香炉などが変わってくるところもありますので、三具足の1つとして非常に重要な仏具の1つになりますから、ここでしっかりと知識を蓄えておきましょう。

そもそもの香炉の意味と役割について

香炉とは読み名もそのまま「こうろ」と読み、その名の通り「香」を焚くために使う器になります。

お仏壇に祀る仏具の種類は数多くありますが、火立、花立と今回のこの香炉で、三具足と呼ばれ最も大切な仏具の1つとされています。

香炉には様々な種類が存在し、宗派によって使う香炉などが変わる事もありますので少し注意が必要になります。

香炉には種類がたくさんあり宗派によって異なる

一般的に仏具店などでは総じて「香炉」と紹介がされます。
コーナーやカテゴリとして、火立や花立のように、香炉と紹介されますが、実はその種類が豊富です。

  • 前香炉
  • 土香炉
  • 透かし香炉
  • 玉香炉
  • 火舎香炉
  • 長香炉

などが代表な香炉の種類としてあり、当然ながらそれぞれに役割や用途、宗派によって使う使わないなどがありますので、しっかり見て行きましょう。

香炉の向きについて

香炉は彫りや絵柄などが入った香炉であれば、どちらが前でどちらが後ろかわかりますが、そうでない無地の場合などは悩ましいですが、しっかりと向きはきまっていますので注意が必要です。

特に従来の伝統型のお仏壇に祀るような、いわゆる仏具な形をした香炉は脚が3本あり、向きが正式に決まっていますので注意しましょう。
一本足が前(仏壇の手前側)、二本足が後ろ(仏壇の奥側)ときまっています。

それぞれの香炉の役割選び方

香炉の種類別に、どういったものが●香炉でどういう役割なのかなどを見ておきましょう。

前香炉

一般的に使われる香炉になり、「まえこうろ」と読みます。
仏具店などでも多く取り扱われており、香炉というとこの前香炉を指すことも多いです。

仏具店などによっては、机用香炉、線香炉などの呼び名がされる場合があります。
これは、経机やスライド式の膳引きに置いて、線香を立てるために使われるためそう呼ばれています。

大型の伝統型仏壇などの場合は経机の上に置き、小型や経机が無い仏壇の場合は一番下の段かスライドさせた膳引きの上に置くのが一般的です。

前香炉の中に香炉灰を敷き詰め、線香を立てるために使われます。
浄土真宗では、後述する土香炉を使うのが一般的なため、浄土真宗以外の宗派で使われています。

土香炉(玉香炉・透かし香炉)

土香炉は主に浄土真宗系で使われ「どこうろ」と読みます。
特に、青磁の香炉を指すのが一般的になります。

浄土真宗では香炉には青磁でできた土香炉と、金属でできた金香炉の2種ありますが、金香炉は寺院など向けで家庭用などの一般向けでは土香炉を祀ります。

真宗系で使うのは総じて土香炉と称すことも多いですが、実際には、本願寺派では「玉香炉」、大谷派では透かしが入った「透かし香炉」と呼ぶのが一般的で、仏具店でもそう販売されている事が多いです。

浄土真宗では線香を立てることはしませんので、土香炉に折った線香を寝かせて炊くように使います。

火舎香炉

これも真宗系で使われる香炉になります。
土香炉が線香を寝かせて焚くのに使われますが、火舎香炉は焼香用に使われるものになります。

デザイン性が他の香炉とは違い、煙出しのための穴があいた蓋が付いた香炉になるため、見た瞬間に火舎香炉だというのもわかりやすく、三本足のため前香炉と同じように、1本の足の方をこちら側に向けて置きます。

使い方としては前卓の上に置き、火舎香炉の左右隣には華鋲を置きます。
そのため、仏具店などには、火舎華鋲セットとしても扱われています。

長香炉

一般的な前香炉では線香を立てて使いますが、長香炉は線香を寝かせて供えるための香炉になります。
多くは前香炉が使われるため、使われる事はそれほどありません。

その他の香炉

これら以外にも焼香用の香炉などが色々あったりします。
どの香炉を使うかなどは宗派だけでなくお寺の意向などでも変わる事もありますから、購入前に一度確認しておくのが安心です。

一般的なものですと、真宗系であれば、本願寺派系は玉香炉、大谷派系では透かし香炉、それら以外の宗派では前香炉が、多くの家庭でのお仏壇用の仏具の香炉として使われます。

香炉はただそれだけで使うのではなく香炉灰が必要

香炉はいわば器になります。
そのままでは線香などが刺さりませんので、別で香炉用の灰が必要になります。

多くは香炉灰として香炉を買う際にセットで購入できるはずですので、くれぐれも忘れずに合わせて購入しておくようにしましょう。

香炉の中に香炉灰を敷き詰め、その上に線香を立てるというのが一般的です。
もちろん、香炉灰は手入れや掃除なども必要になるため、適時必要な処置を取っていくようにしましょう。

最近では灰ではなく洗って繰り返し使える香炉石が人気

一般的には香炉灰を使うのが主流ですが、灰を敷き詰め、燃えかすの線香などを取り除いた後また灰をふるいに掛けてならして…といった掃除や手入れが必要です。

香炉灰はこの手入れが面倒という声も多いです。

そういった事もあり、時代の流れもあってか、あまり手入れなどに時間を割けない、使いたくないというニーズに合わせて、今では香炉灰だけでなく、繰り返し洗って使える香炉石なども登場しています。

灰は風などで灰が舞ってしまったり、ペットや小さな子どもがひっくり返したりといった場合、掃除が大変ですが、香炉石の場合はそういった心配もなく、また灰の手入れなども必要ありません。
基本的には、洗って繰り返し使えるので非常に手入れや管理が楽で、最近ではこちらも主流になりつつあります。

また、見た目的にも天然石などを使うためカラフルなこともあり、モダン仏壇に置く香炉などには従来の香炉灰ではなく香炉石をという方も多くなってきています。

どちらにせよ香炉はそれだけでは器で線香を立てることができませんので、線香を立てるための香炉灰・香炉石なども合わせて購入しておくようにしましょう。

香炉は仏壇においては最も必要な仏具の1つだけどまずは相談してから

香炉は何度も書いてきているように、三具足の1つにもなりどの宗派でもまず間違い無く使う仏具の1つでとても重要な役割を担います。

ですが、解説してきた通り色々な香炉の種類があり、花立や火立であれば基本色味にだけ気をつけておけば良かったので問題ありませんが、香炉の場合はそうもいかず宗派によって使う香炉もまた変わってきます。

そのため、購入前にはできるなら菩提寺や近くのお寺に一度相談してから選ぶようにするのが間違い無くて安心です。

どの香炉にするかさえきまれば、後は予算やお仏壇のデザインなどと合わせて選んで問題ありませんので、しっかりとした香炉選びをしていきましょう。

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  • 公開日:2017.05.30
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏具

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