基本仏具の1つでもある「火立」
灯立の呼び名の違いや意味と役割から選び方の解説
お仏壇の中に置く仏具には色々な種類の仏具がありますが、その中でも基本となる仏具の1つでもあるのが「火立」です。
火立は仏具の基本にもなる三具足と呼ばれる中にも含まれるとおり、仏具においては非常に大切な1つになります。
今回はそんな仏具の火立において、呼び名の違いや表記名の種類などから、どういった意味や役割があり、仏具を買う時の選び方などについてまとめています。
仏具の火立について
火立は文字通り「ひたて」と呼びます。
文字通り、火を立てるための仏具で、火立の仏具の上にロウソクを立てて火を灯すために使われます。
火立の役割は、線香に火を付けるためと思われがちですが、実は違います。
本来は、火を灯し供養するための仏具というのが正しい考え方・役割となり線香に火を灯すのはあくまでもそのためではなく副産物的な役割になります。
仏に火を灯すことを、「燈明」「灯明」と言い「とうみょう」と呼びます。
そもそも仏教では火を灯す事は、非常に大切で闇を照らし明るくしてくれるため、非常に大切な供養の1つとされているのです。
その大切な火を灯すために必要な仏具が火立になります。
火立の呼び名は実は数が多く存在する
一般的に仏具としては火立と呼ばれます。
ですが、仏具店や地域などによって、微妙に呼び名や書き方が変わったりする事があるため少し注意が必要です。
- 火立
- 灯立
- 燭台(しょくだい)
- ロウソク立て
私個人が過去に何度も見たことがあるものとしてはこういった表記にされる事もあります。
ほとんどが意味は同じで、火を灯すための仏具として、上にロウソクを立てるために使われます。
火立に立てたローソクの火は息で消してはいけない
これは1つのマナー的なものになりますが、火立に載せたローソクに火を灯した後に消すとき、息で消そうとする人がいますが、これはしてはいけません。
ロウソクの火だけに限らず、線香もこれと同じです。
お墓参りなどの経験がある方なら、線香の火は手をあおいだ風で消さなければなりません。
これは、そもそも仏教的な話になりますが、私たち人間の口から出るものは不浄で穢れているという前提があります。
息で火を消すというのは、その穢れているものを吹きかけるという事になるため、マナー違反、正しい作法ではないとされています。
消すときは手であおいで消すように注意しましょう。
火立ての選び方
これはどう選べば良いのかといった決まりは特にありません。
宗派によっての違いも、ほとんどの宗派でこうしなければならないというのはありませんが、唯一、浄土真宗系だけ注意が必要です。
浄土真宗は東西で黒と金を使う
浄土真宗を除いた他の宗派では、火立は基本的にどれを使っても問題ありません。
ですが、浄土真宗系だけは、東西において使う仏具が基本的にきまっています。
本願寺派などの西系では黒仏具を使い、大谷派などの東系では金仏具を使います。
そのため、花立や火立などの具足では、浄土真宗用の専用仏具なども用意されています。
特に東の大谷派では三具足は鶴と亀のデザインが施された専用の三具足を使う事が多いので、真宗系の方は少し選ぶ時に注意しましょう。
浄土真宗系でなければ、真宗専用の金色の仏具でなければ問題ありません。
色味や素材・材質について
上記の通り特にどれを選ばなければならないというのはありません。
色も素材も、言ってしまえば、好みや予算で選んでも問題はありません。
多くは、仏具を安置するための仏壇の色味や材質などに合わせて選ぶのが一般的で、モダン仏壇にモダン仏具を、唐木仏壇には伝統系の仏具をというのが一般的です。
最近では真鍮製の仏具が高級感もあり人気が高く、モダン仏具としてはワインレッド系の色味が人気が高く主流となっています。
伝統型でも同様で真鍮製の仏具が高級感があり人気で、黒系の色味と花鳥などの彫が入った仏具が重厚感もあり人気が高くなっています。
火立を1個で置くのか対で置くのかで注意する
火立を選ぶ時には仏壇のサイズに合わせて選びます。
この時、1つだけ注意しなければならないのが、火立を1個だけで置くのか、対にして左右に置くのかという点です。
いわゆる三具足としておくのか、五具足としておくのかで考え方も多少異なってきます。
対にする場合は左右に火立を置き、一般的には同じ段に置きます。
そのため、ただでさえ他の仏具も置くスペースが必要なところに火立を2個置くことになるため、仏壇の幅のサイズなどにも注意しなければなりません。
1個のサイズだけで考えていて、実際に2個置こうとしたら他の仏具とサイズが合わず入らなかった…という事がありえるため、サイズ選びは火立を対で置く場合には少し注意しましょう。
火立は「灯」を扱うため取扱いには要注意
火立自体に火を灯すわけではありませんが、実際に使う際には火立にロウソクを立てて火を灯します。
そのため、火を扱うので注意をしなければなりません。
仏壇はそもそもが木製です。
仏具の中にも過去帳や経本などがあればそれらは紙製のため火が移ると当然燃えてしまいます。
事実、火立に置いたローソクの火が何かに燃え移って火事が起きるという事故はそれなりな頻度で起きています。
特に何か特別な御供えをした時は要注意
普段は慣れたもので問題ないかもしれませんが、特に注意しなければならないのが特別な御供えなどをした時です。
特に多く注意しなければならないのが孫関連や子ども関連です。
例えば、子どもや孫がテストで良い点数を取ったり、賞を取ったなどの場合、その回答用紙や賞状を見せるために一時的に仏壇に飾るといった事もあります。
ですが、これらは紙です。
何かの拍子にロウソクの火が移ってしまうと、その紙が燃えてしまい仏壇が燃えてしまうという事にすらなりかねません。
普段はもちろんの事、普段と違う御供えなどをするときにはより一層注意をするようにしましょう。
今では電子型のロウソクという対応も
火を扱い、火事も起きてきた過去から、最近では電子型のロウソクや線香も存在しています。
これであれば、見た目は火を灯しているようにも見えますし、火事の心配がないという事で、普段のお参りなどはこちらで代用する方も増えてきています。
法要時などの区切りの際には本物のロウソクに火を灯し、普段の時には万一の危険性を考え、電子型のロウソクを使うというのも1つの手です。
他の仏具と違い、火立は火を扱う事になりますので、くれぐれも注意だけは怠らないようにしましょう。
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