高級位牌と言われる「総金位牌」「総粉位牌」
総金・総粉位牌の特徴や触る時や取扱いの注意点

  • 2020.03.26
  • 2020.04.06

位牌

位牌には実に多くの種類があり、海外産の安いものから産地の名前を冠した上質なものまで、買い手のニーズに追応じて様々な種類が選べます。
中でも高級位牌の代表格として知られているのが「総金・総粉」と呼ばれるもので、それぞれ金箔・金粉で前側面をコーティングした位牌になります。

その輝きもさることながら存在感も独特のものがあり、少しでもご先祖様・故人への敬意を示したいと、総金・総粉の位牌を選ぶ方は少なくありません。
今回は、高級位牌の代名詞的存在である、総金・総粉で作られた位牌の特徴や、取り扱いの注意点などについてご紹介します。

総金・総粉の位牌とは?

総金・総粉ともに、金を位牌にあしらった形をイメージすると思いますが、豪華な位牌を見ると大抵どこかには金が用いられており、実物を一度も見たことがない人は誤ったイメージを抱くおそれがあります。

そこで、総金・総粉の位牌に似た名称の位牌と比較して、違いを解説してみました。

そもそも、位牌は金箔の施し方によって名称が異なる

いわゆる金位牌と聞くと、全ての面が金でまとまっているイメージを持ちますが、厳密には前面と側面のみになり、見えない部分の裏面は黒となります。
また、金をどこまで・どれだけ位牌にあしらっているのかによって、同じ金でも名称や値段が異なります。

一般的に金仏壇に安置する位牌としては、台座・札の面取(角・隅の部分)といった部位に金箔が施されているものをイメージする方が多いと思います。
基本的には黒・朱の色が使われており、大きくは塗り位牌という分類になりますが、彫刻は金箔でおおわれていることが多く、それを「面金」と呼びます。

面金が少しゴージャスになったものが「三方金」で、こちらは台座の前面・側面・札の側面に金箔が用いられています。
通販サイトなどで見かけるものは、面金もしくは三方金が大部分を占めています。

一言で言うと「全て金でできている」質感を持つ位牌が「総金」

三方金・面金が、黒地の中に金を一部あしらうイメージだったのに対し、総金は表面・側面の全てが金箔でおおわれています。
何も知らない人が見た場合、金でできた位牌なのかと勘違いしてしまうデザインで、豪華極まりない造りです。

表面の札自体も全面が金なので、当然文字を金色で修飾することはできません。
よって、文字には青などの色が用いられます。

青という色は、おそらく金色の派手さを中和する目的で選ばれたものと推察されますが、冠婚葬祭における色の序列においても、藍色は比較的高い位となっているため、悪い選択肢ではないと言えそうです。

「総粉」も金を蒔いているが、質感がやや異なる

総金とは金箔を貼りつけたものを言いますが、似たようなものに総粉があります。
総粉も、金を位牌にあしらっているという意味では同じですが、金粉を蒔いているため質感が少し異なります。

分かりやすく質感を説明すると、総金は金箔自体を貼り付けるため、金そのままの輝き・存在感が得られ、輝きもその分強い傾向にあります。
これに対して総粉は、金粉を蒔いて位牌を荘厳しているため、落ち着いた輝きとなります。

そもそも、金箔と金粉の違いは非常に大きく、製造過程・用途の面でも違いがあります。
金箔は、金を微量の銀・銅とともに金づちで叩いてひたすら薄く引き伸ばして作りますが、金粉はそんな金箔を材料にして作られます。

金箔のクズにあたる部分を粉砕して作ったり、塩化金を材料に用いて科学的に生成したりと、作り方から見る限り金箔に比べて質が劣る点は否めません。
しかし、それはあくまでも製品の特徴であって、金位牌は欲しいけど派手な位牌は嫌だという人には向いていると言えるでしょう。

総金・総粉の位牌は他の位牌とどう違うのか

位牌のデザインは、お仏壇のデザインが現代風に変化するとともに、モダンなデザインを取り入れるようになりました。
木からできているものばかりではなく、石やガラスを使ったものも見られます。

総金・総粉の位牌も独特のデザインとなっていますが、その個性は強く、他の位牌とはビジュアルの面で圧倒的な違いを見せています。
続いては、総金・総粉の位牌と他の位牌を比較した際、具体的にどのような違いがあるのかについてご紹介します。

金をあしらっている分、荘厳の意味合いが強い

総金・総粉の位牌は、見える部分全てに金をあしらっています。
金という色は仏教美術において重要なもので、仏教における「荘厳(しょうごん)」の考え方からもてはやされてきた経緯があります。

荘厳とは、仏像・仏堂など御仏に関わるものを立派・おごそかに飾り立てることを言い、その美しさによって信仰心を啓発する目的があると言われています。

金という金属自体が持つ希少性・普遍性から、多くの人間に価値を認められている金属の一つで、それが仏教世界の聖性に結びついたものと考えられます。

位牌を金で飾り立てて故人への荘厳の気持ちを表し、自らもまた心の安寧を求めることは、日本人にとって自然なことなのかもしれません。

デザインの事情から、金仏壇以外とは相性が悪い

総金・総粉の位牌を選ぶ場合、良くも悪くも個性が強く派手なデザインの事情から、安置するお仏壇の種類を選びます。

基本的に、金仏壇以外のお仏壇に安置すると浮いてしまい、質実剛健なデザインをイメージした唐木仏壇・木のぬくもりを活かした家具調仏壇では、その輝きがかえって嫌味に見えてしまう場合があります。

ただし、現代調のお仏壇であっても、扉に螺鈿・蒔絵などを施したデザインであれば、その雰囲気にマッチするものと思われます。
総金・総粉の位牌を置いた状態をイメージして、自分なりに違和感がなく安置できると判断した場合は、購入を決断しても差し支えないでしょう。

一口に金箔と言っても、色々な種類がある

同じ総金・総粉の位牌であっても、商品のラインナップをネットでチェックした際、商品の金額に大きな差があります。
理由はいくつかありますが、金箔・金粉に限って言えばその種類が関係しています。

あまり想像することはありませんが、実は金箔と一口に言っても、実に多くの種類があります。
純金100%のものもあれば、60%しか金が含まれていないものもあり、その分だけ金額にも反映されます。

宣伝文句をよく見てみると、総金とうたわれているものの中でも「純総金」と書かれているものは、より高価な傾向が見られます。
このことから、金自体の価値が一定の度合いで値段に反映されており、見る人が見ればその違いは一目瞭然であると言えるでしょう。

ちなみに、純総金と総金の違いだけで同サイズを比べた時、商品によってはケタが違うこともあります。
実際に購入する場合は、お金を出す分だけの価値があるかどうか、家族でしっかり相談した上で購入することをおすすめします。

総金・総粉の位牌を取り扱う際の注意点

一般的な位牌と総金・総粉の位牌とを比べた際、やはりその装飾が取り扱いを難しくしている点は否めません。
金箔・金粉は繊細なため、ちょっとしたことが汚れ・はがれにつながるため、丁寧に取り扱うことが求められます。

素手で触れるのは厳禁

総金・総粉は、基本的に素手で触れることはできません。
柔らかい自然素材の白手袋、できれば綿のものをはめて位牌を取り扱います。

金自体は安定性の高い金属で、それ故に世界中で富の価値をはかるものとして広まりましたが、金箔・金粉は別です。
素手で金箔・金粉部分に触れてしまうと、指紋や皮脂がついてしまうため、せっかくの光沢が台無しになってしまいます。

軽くぬぐって汚れが取れることもある反面、あまり積極的に行う汚れ落としの方法ではありません。
金箔・金粉は、位牌に直接塗り込んでいるわけではなく、貼り付け・蒔きつけているだけの状態です。

よって、ちょっとした力の入れ具合で、すぐに金の部分をはがしてしまうおそれがあります。
素手で触らないよう、無駄な汚れをつけないよう、丁寧に取り扱いましょう。

普段から、触る機会を減らせるよう安置する

お仏壇に安置する場合、普段の掃除でどうしても位牌をどける場合があると思います。
しかし、総金・総粉の位牌を安置しているなら、あえてその部分には触れないように掃除をする工夫が必要かもしれません。

ホコリが内部に入らないよう、戸軸(内側の扉)を普段は閉めておくだけでも、掃除をする機会を減らせます。
金仏壇であれば、基本的に二重扉になっているお仏壇がほとんどですから、特に問題なく実践できるものと思われます。

扉が一つしかないお仏壇の場合は迷うところですが、あえてお参り以外は扉を閉めるというのも一つの方法です。

お仏壇をご先祖様・故人の住環境に当てはめて考えた場合、家の扉を閉めている状況と同じですから、イメージとしては決して間違っていないと言えるでしょう。

金の質感を位牌に取り入れたいなら、あえて木目を選ぶ考え方も

金を取り扱う場合、几帳面な人でなければすぐに汚してしまうおそれがあります。
そこで、似たような質感を取り入れる方法として「木目調の位牌」を選ぶのも、一つの選択肢です。

位牌の種類は数多く存在しており、特に家具調・現代調のお仏壇に合わせられるよう、デザインも移り変わってきました。
いわゆる白木位牌ではなく、木目を主張して加工した位牌も増えてきており、メープルのように金に色味が似た味のある雰囲気を持つものもあります。

文字は金色を入れるため、色味に加えて取り扱いやすさを備えていることから、古い金仏壇に置いても違和感がないデザインのものもあります。
もちろん、個人の価値観によってとらえ方は変わりますから、一つの選択肢としてお考えいただければ幸いです。

おわりに

高級位牌として知られる総金・総粉の位牌ですが、その分取り扱いが難しいという難点もあります。
しかし、そのきらびやかさは他を圧倒し、金仏壇との相性も良いことから、古くからあるお仏壇に安置するには適している部類の位牌と言えるでしょう。

金額は、金箔の種類やデザインなどによって左右しますが、安いものであれば10,000円未満で購入できるため、予算に合わせて選べます。
お値段はお手頃でも、仏教世界では最高の色を贅沢に使っていることには変わりありませんから、供養の意味で総金・総粉を選んでみてはいかがでしょうか。

【PR】ひだまり仏壇
お盆時期やお彼岸に合わせて、仏壇や仏具・位牌を揃えるなら、“ひだまり仏壇”さんが必要なものから徹底解説までされていておすすめです。
お仏壇やお位牌・各種仏具のネット通販専門店|ひだまり仏壇
  • 公開日:2020.03.26
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:位牌

タグ:

関連コンテンツ(一部広告含みます)