主に浄土真宗で選ばれる金仏壇について
塗仏壇とも呼ばれる金仏壇の特徴や選び方と注意点

  • 2016.08.10
  • 2020.04.06

仏壇

金仏壇と言えば、まさに名は体を表すの言葉通りに、いわゆる金ピカなお仏壇になり、よく多くの方がお仏壇をイメージする時などは、この金仏壇を思い浮かべる方が多いと言えます。

実家や田舎の祖父母の家にこの金仏壇があったという方も多いかもしれません。

一般家庭には江戸時代頃に作られるようになったとされていて、江戸時代には日本は鎖国制度を取っていたため、唐木仏壇の唐木が手に入らず、ほとんどがこの金仏壇を置いていたと言われています。

今回はそんな金仏壇について見ておきましょう。

金仏壇とは?をおさらい

金仏壇は、一言で簡単に言えば外側を漆で黒く塗り、内側は金箔や金粉で華やかに仕上げたお仏壇になります。
このことから、金仏壇の事を塗仏壇と呼ぶ方もいます。

日本でも京仏壇、大阪仏壇、名古屋仏壇、広島仏壇、彦根仏壇などと北陸関西などに産地があり、かつては職人の手で作られた伝統工芸品でしたが、時代の流れやコスト関連の事もあり、今では多くが中国産となっています。

金仏壇は檜や杉、欅、松、銀杏などを主材料とし黒の漆塗りが施されています。
ただ、中国には漆塗りの技法がないため、漆塗り仕上げではなくカシュー仕上げが主流となっています。

外側を黒塗りで仕上げ、内側には金箔を貼って華やかに仕上げたお仏壇です。

お仏壇の内部には、荘厳造りと称されるほどの非常に美しく細やかな技巧が施されており、さらには蒔絵、欄間彫刻、金箔押しなどなど、日本の伝統工芸の技法が集約されていて、多くの職人の手が必要な豪華さを誇る特徴を持ちます。

中でも、金仏壇の大きな特徴が内部に精巧な宮殿を作るのが特徴でもあり、内部などの造りも宗派(特に浄土真宗系)によって、大きく異なります。
宮殿の形がそれぞれ本山の形を摸しています。

金仏壇は実は分解して掃除=「お洗濯」が可能

金仏壇は品質がしっかりしたもので造りがしっかりとしているものに関しては、実は古くなったものをクリーニングに出して綺麗にする事が可能です。
これを、一般的には仏壇の“お洗濯”と呼ばれています。

ただし、コストを下げるために素材にボード類などの安価な素材を用いている場合はこれらが難しくなっていますので、注意しましょう。

主に浄土真宗で選ばれるものの、他の宗派でも問題はなし

この金仏壇は多くが浄土真宗で選ばれています。
他の宗派でも金仏壇を選んでも問題ないとされていますが、ほとんどが浄土真宗で選ばれ、他の宗派で選ばれる事は極めて稀と言えます。

事実、私が仕事で携わっていた際に、浄土真宗以外の方で金仏壇を選ばれる方は1年に1人いるかいないかといった具合でした。

浄土真宗では主に東西で造りがわかれており、それぞれ西本願寺、東本願寺を模した造りとなっています。

浄土真宗本願寺派(西本願寺派など)

宮殿が西本願寺の阿弥陀堂を模して作られています。
仏壇の内部など柱も基本的には金箔張りのため金色になります。

宮殿一重破風屋根
外柱金箔張りの柱

真宗大谷派(東本願寺派など)

宮殿が東本願寺の阿弥陀堂を模して作られています。
また、東派の特徴でもある黒柱は、東本願寺の阿弥陀堂、二重屋根は御影堂(大師堂)を模して作られています。

宮殿二重瓦屋根
外柱黒漆塗りの柱

外柱の黒塗りの分だけ、同じ金仏壇であったとしても、本山東用の金仏壇の方が値段が少し高くなる場合もあります。

金仏壇の主な材料と工法などについて

金仏壇を選ぶ上でチェックに欠かせないものとして、下記のモノが挙げられます。
これらの材質や工法などによって、品質や価格も大きく変わります。

木地

金仏壇を作る上で主となる木材です。
先ほどにも記載したように、檜、欅、杉、松などの木材から、MDFや合板ボードなどが使われ、質に応じて価格も大きく変わります。

金仏壇の外側の表面仕上げには、日本では漆が使われており、漆仕上げが一般的です。

しかしながら、今の仏壇業界では製造は多くが外国産となっているため、漆塗りの技術が確立されていないところも多く、外国産の金仏壇では漆塗りではなく、カシュー塗仕上げが一般的となっています。
これら以外にも費用をおさえるために化学塗料などが使われる場合もあります。

また、漆塗りと一言で表しても様々な仕立て方が存在し、手間がかかるものとかからないものとで、品質にも価格にも大きな差がで出る事もあります。

金箔

金仏壇の内部を金に飾るために必要となります。
金箔だけでなく、より高価で輝きを落ち着いたものにさせるために金粉を使っている場合もあります。

金箔にも種類があり、金箔1号~4号までで、純度に違いがあり1号に近いほど純度が高くなります。

蒔絵

日本を代表する技法の1つ、漆工芸の技法です。
漆を使って絵を描き、乾かないうちに金や銀の金属粉を定着させる技法で金仏壇には多く用いられています。

本体内部の引き戸や下台の引き出しや扉などに描かれる事が多くなっています。

現在では本物の蒔絵ではなく費用を抑えるためにシルクスクリーン印刷の技術を活用した蒔絵が多くなっています。

錺金具(かざりかなぐ)

金仏壇においては、装飾として、もしくは補強用として使われます。
これらの錺金具を使う事で金仏壇がより一層美しく輝きます。

表面のメッキには金メッキと消金メッキなどがあり、銅や真鍮などの金属を加工しますが、低価格のものになれば金型加工なども使われます。

彫刻

金仏壇では多くの箇所に彫刻や彫りが施され、欄間や障子、柱などに主に施されます。
安価な金仏壇では、プラスチック製が使われる事もあります。

金仏壇を選ぶ際には、品質表示の確認をしっかりと行う

唐木仏壇と同様に、金仏壇でも技法や材質などによって値段は大きく変わります。
様々な技術の発展に伴い、そういった“見分け”というのは、年々難しくなっており、特に素人目にはほとんど見分けが付きません。

そういった事もあり、唐木仏壇と同様に金仏壇でも仏壇公正取引協議会から加盟店には品質表示が義務付けられていますので、しっかり確認しましょう。

仏壇公正取引協議会に加盟していない店では表示していない可能性もありますが、その場合はしっかり口頭ではなく書面としてだしてもらって証拠として残るようにしておきましょう。

品質表示として表示されるもの

一般的なお仏壇店では下記のように表記されています。

商品名なびなび
販売価格498,000円
木地主芯材ヒバ
正面表面仕上げ(台輪)カシュー仕上げ
正面表面仕上げ(大戸)カシュー仕上げ
主な金箔粉など金粉・金箔
原産国中国
外寸75cm×175cm×64cm(幅×高×奥)

これらの表記がされていない、出さないといったショップでは騙す気満々の可能性もあるので注意しましょう。
また、必ず口頭だけの説明で済まさず、しっかり品質表示の証拠となるものを残しておく事が大切です

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  • 公開日:2016.08.10
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏壇

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