お仏壇や仏具は個人間やアプリでも大丈夫?
メルカリやヤフオクやジモティーなどでの購入について
お仏壇は高額な買い物であり、仏具や位牌についても専門店で購入すればそれなりのお値段になります。
予算の関係上、どうしても出費ができないという理由から、中古品の購入やメルカリ・ヤフオクなどを使った個人取引に手を出す方も増えてきています。
しかし、一般的な流通ルートから外れたところでの買い物は、自分自身に見る目がなければとんでもない粗悪品を購入してしまうケースもあり、注意が必要な分野でもあります。
今回は、中古品やフリマアプリ・オークションサイトを使用してのお仏壇・仏具・位牌購入などについてご紹介していきます。
そもそも、お仏壇・仏具・位牌を専門業者以外から手に入れることは可能なのか?
お仏壇を扱う業界全体の傾向として、仏壇の製造に携わる職人向けの資格や、優秀な販売員であることを示す資格などを目にすることはよくあります。
会社単位・協会単位での資格もあれば、葬祭ディレクターなどのように厚生労働省が認定している資格も存在します。
実際のところ、お仏壇を販売するにあたっては、国家資格などは必要なのでしょうか。
法的には「個人からお仏壇を購入すること」は禁じられているわけではない
中古品について言えば、リサイクルショップなどで以下のような物品を取り扱う場合には「古物営業法」に基づき、公安委員会の許可が必要になります。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車および原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
お仏壇・仏具の場合は、1もしくは3に該当するものと思われます。
ただ、これはあくまでも店舗営業や継続的な営利目的を主とした場合の考え方であって、個人取引を主とするオークションサイトであれば、一定の条件下であればその対象外となります。
言い換えれば、法的にNGが明確に出されているわけではないということです。
こうして、少数の品物を出品している個人や、古物商許可を受けた法人が入り乱れ、ネット上での売買を行っているのです。
実際、今では週末副業などでオークションやメルカリなどのフリマアプリを使って、様々な販売をしている個人の方が増えてきています。
お仏壇や仏具なども、実際に調べて見たら少しではありますが販売されているのが確認できます。
日本では原則として業者を介して手に入れるものという考えが根強い
現代の日本では、お仏壇・仏具といった商品は、未だ原則として信用できる業者を介して手に入れたいと考える方が大多数を占めています。
というより、オークションサイトのような顔が見えない相手との交渉に対し、抵抗感を感じる世代がちょうどお仏壇を欲しがる主な世代とも言えます。
お仏壇は、一般的な家具や装飾品と異なり、見えるものを扱いながらも「見えないもの」を背後に感じることを目的として購入します。
亡くなった方やご先祖様・御仏の存在を、見えないところから見えるもの・感じるものとして祀ることが目的なのです。
そのような尊い志を持って購入するにもかかわらず、誰が使っていたのかも分からないようなお仏壇・仏具を使用するというのは、たとえ特定の宗教観を持っていない方であっても抵抗を感じるものと思われます。
位牌については、戒名などを刻む関係上、中古で手に入れること自体がそもそも難しいところがあります。
仮に故人と同じ名前を彫っていたとしても、使いたいと思う方はまずいないのではないでしょうか。
ノークレーム・ノーリターン、相手が見えない罠の存在
フリマアプリ・オークションサイトを使ってお仏壇・仏具を購入する場合は、基本的にはノークレーム・ノーリターンというルールが存在します。
一般の個人的な商品であればまだしも、お仏壇や仏具においては、これが非常に足かせでもあり注意が必要です。
ノークレーム・ノーリターンというのは、要するに、現状での購入に加え返品や文句は受け付けませんという意思表示です。
今ではもはや暗黙のルールという事で、購入にあたっては、ノークレーム・ノーリターンという事を認識して購入したと多くの人に思われるほど一般化しています。
一般的な専門店で購入した場合、多くの商品で保証が受けられます。
万一傷や不具合などがあった場合は、当然ですが修理や交換などのサポートにしっかりと応じてくれます。
もちろん、これらは比較的安価なモデルであっても同様です。
しかし、個人取引の場合は、業者とは違い全てが自己責任です。
お金を支払い商品が届いたら、あとは個人間でのやり取りになってしまうため、何か問題があっても誰も助けてくれません。
極端な話、一度商品が届いてしまえば、明らかな不良品だったとしても「低評価」を付けることしかできないのです。
フリマやオークションの仲介企業なども基本のスタンスとしては場の提供で、そういった購入後のトラブルについてはあまり親身にサポートしてくれません。
届いていないや詐欺などのトラブルであればサポートしてくれますが、購入した後の個人間トラブルにおいては原則サポート対象外も多いです。
もし、同じ金額で購入するのであれば、保証がしっかりとしているものを選びたいのが人情でしょう。
お仏壇をフリマアプリ・オークションサイト経由で購入しようとお考えの方は、よほどの破格でない限りは手をつけない方が無難です。
フリマアプリでお仏壇・仏具・位牌を購入する場合の注意点
それでも、やはり価格が安く中古でも相手が信頼できるか否かよりも、とにかく価格を安くおさえて購入したいという方もいるかもしれません。
もし、そういった方がフリマアプリでお仏壇・仏具・位牌を購入しようと考えた場合、具体的にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。
以下に詳細をご紹介します。
情報が少なく出どころが分からない
フリマアプリの代表格として「メルカリ」があります。
使ったことがある方であればご存知でしょうが、よりどりみどりの商品写真が短時間で入れ替わる画面を見ていると、買い物が楽しくなりますよね。
しかし、実際の商品ページの画面構成は、誰でも出品できることを念頭においたシンプルさが売りとなっており、それはメルカリの長所でもあり短所でもあります。
より突っ込んだ表現をすれば「商品情報に乏しい」のです。
メルカリを例に取ると、一つの商品について公表できる情報は以下の通りです。
- 写真4枚
- 出品者のステータス
- 商品の状態(定型文)
- 配送料などに関する記載
- 発送日
- 金額
- 商品説明(スペース・改行・記号等含め1,000文字)
これらの情報の中でもっとも重要になるのが、1,000文字を割ける「商品説明」ですが、文字情報の装飾などはできないため、ユーザーに対するアピールがどうしても画一的になります。
また、個人が出品していることもあり、購入希望者に安心感を与えられる情報を提供できる出品者も、決して多くはありません。
特に、写真は商品状態を伝えるのに非常に大事なツールですが、仏具ならまだしも、それなりに大きなサイズのお仏壇にかけられる枚数が「4枚」だけというのは、素人が判断するにはあまりにも少なすぎる情報量です。
良い品かどうか判別できる自信がない場合は、スルーした方が賢明と言えるでしょう。
お仏壇を購入する場合「魂抜き」はなされているか
これはオークションサイトにも言えることですが、中古のお仏壇を購入する場合、魂抜きが行われているかどうかを確認しましょう。
魂抜きとは「閉眼供養(へいがんくよう)」とも呼ばれ、今まで安置していたお仏壇を依り代としていたご先祖様・御仏の霊に一度離れていただくことを目的とした供養になります。
本来は、供養が完了した段階で処分されるわけですが、それを処分せずに出品しているものが、中古のお仏壇になります。
とはいえ、基本的にはその家々で使われてきたお仏壇ですから、いくら状態が良いものであっても、中古品として販売することに抵抗感を抱く方が多いと思われます。
ちなみに、メルカリ内でもまっとうな売り手の場合は、きちんと魂抜きを行ったことを証明する「ご供養証明書」といった書類があることをアピールしています。
逆に言えば、供養の証明が何一つ存在していない商品も、サイト内には混在しているのです。
創価学会系のお仏壇を購入する場合は例外
一般的な宗派のお仏壇については、先にご紹介した魂抜きの問題があって、中古品を購入しようと考える方は多くありません。
しかし、創価学会系のお仏壇は例外です。
創価学会ではいわゆるお仏壇の「出世買い」が認められており、自らの勤行の結果により、より良いお仏壇を手に入れるという考え方があります。
そのため、創価学会のお仏壇専門店であっても、お仏壇の買い換えや中古品の購入を勧められます。
創価学会にとって重要なのは「ご本尊」であることから、ご本尊をお祀りするお仏壇が変わること自体は、特段問題ないと考えるのです。
このことから、メルカリなどのフリマアプリと中古のお仏壇とは、相性が良いと考えられます。
しかし、状態が良いかどうかを選ぶには、掲載写真の枚数が少ないというデメリットもありますから、慎重に選びたいところです。
荘厳に使用する仏具を購入する場合は状態を確認
お仏壇に比べると、仏具は比較的購入のハードルが低いものと考えられます。
しかし、荘厳に使う仏具を選ぶ場合は、写真でしっかりと状態が確認できるものを選びましょう。
多少の傷は気にしないと考えている方や、数珠などは間に合わせで構わないと考えている方であれば、購入するメリットはありそうです。
ちなみに、メルカリでも「新品・未使用」をうたっているものは少なくありませんが、それならそもそもメルカリで購入するメリットはあまりありません。
予算面で店舗よりも格安であれば検討の余地はありますが、強気の値段設定であれば避けた方が賢明です。
毎日のお供え・お勤めに使う仏具を購入する場合は相場を確認
ローソク・線香など、毎日のお供え・お勤めに使うような仏具を購入する場合は、相場観を確認してから購入しましょう。
未使用品で売られているものがほとんどですが、その場合は店舗よりも安く手に入れられることが最低条件と考えたいところです。
たまに見受けられるのが高級線香ですが、もし贈答品として考えているのであれば、やはりフリマアプリではなく店舗で購入した方が、アフターサービスも含めて対応に不備がありません。
ただし、一部健康療法にも使われるものなど、市場で手に入れにくい品物が販売されていることもありますから、コレクター商品を探している場合はその限りではありません。
位牌だけ買っても、個人ではどうしようもない
位牌については、在家用の長期保存品が安価で売られているものがあります。
しかし、位牌はそれだけ買ったとしても、個人では技術が無ければ名入れできませんから、あまりニーズのある商品とは言えません。
購入する場合は、お寺に知り合いがいるとか、取り急ぎ使う用途があるとか、限定的な用法に限られるものと思われます。
しかし、ペット用の位牌を名入りで行ってくれる商品が掲載されていたフリマアプリもあることから、名入れのサービスも含まれているケースの場合、特段宗教観にこだわりの無い方であれば検討の余地はあるかもしれません。
オークションサイトでお仏壇・仏具・位牌を購入する場合の注意点
続いては、オークションサイトでお仏壇・仏具・位牌などを購入する場合の注意点です。
一般的な商取引とはルールが異なるため、事前にサイトの規則やマナーをチェックしておく必要があります。
金額がつり上がるリスクがある
オークションサイトと販売店との大きな違いは、お目当ての商品を購入しようとした場合、金額がつり上がるリスクがあることです。
オークションは入札制度を採用していることから、ライバルが自分の買いたい料金以上の金額を入札すれば、どんどん落札価格は上昇していきます。
取引を続けていくうちに、予定額を超えてしまうのは本末転倒ですから、入札できる上限額をあらかじめ決めて臨む必要があるでしょう。
激安出品の場合は訳ありの可能性も
ヤフオクなどのオークションサイトでは、基本的に1円からの出品が認められています。
さすがに、それなりの規模のお仏壇をスタート価格で1円から開始するユーザーは見られませんが、理論上は可能になります。
中型~大型のお仏壇が10,000円を切る価格で出品されていることもあり、詳細を聞かなければ買うのが怖い商品もあります。
商品ページに納得のいく情報が載っていない場合は、訳ありであることを疑ってかかり、出品者に可能な限り質問しましょう。
もし、商品ページの日本語が不自然な場合は、訳ありを疑った方が確実です。
特に「中古」という言葉をことさらに使っている出品者であれば、実際の状態が写真よりも悪く、写真が加工されている可能性も考慮しておいた方がよいでしょう。
「即決価格」に注意
フリマアプリの台頭によって、オークションサイトもフリマアプリの仕組みを一部取り入れるようになってきています。
代表的なものに「即決価格」があります。
これは、即決価格を入札した出品者は、その時点で落札が確定するという仕組みです。
目当ての商品が見つかり、予算の範囲内の即決価格であったとしても、最少額での入札を繰り返しているうちにライバルが購入してしまう可能性は十分あります。
必要性を感じている商品が安価で手に入るのであれば、即決する勇気も必要です。
逆に、入札のやり取りに夢中になって、気が付いたら予定を大幅に超えた金額で入札し、それが即決価格にまでつり上がってしまうという場合もあるでしょう。
オークションサイトでの取引は、いかなるときも冷静さが必要になることは頭に入れておくべきです。
未使用品のまとめ買いはおトクなのか
フリマアプリ同様、オークションサイトでも未使用品がおまとめ価格で出品されていることがあります。
こちらも、市場における相場と照らし合わせて考えることが大切です。
簡単な方法として、近所のホームセンターで手に入る価格帯をチェックしておけば、送料も含めまとめて購入した場合におトクかどうかが計算できます。
普段購入するものほど、シビアに計算しておきましょう。
例外として、海外に出品する場合は高額になるケースもあり
こちらは例外的な考え方になりますが、もし現在お持ちのお仏壇をオークションなどで販売したいと考えている方は、国内向けではなく海外に出品した方が、高値で売れる可能性があります。
海外には、日本の技術を高く評価している国がいくつもあり、お仏壇や仏像は「骨董品」や「芸術品」扱いとなります。
状態やデザインによっては、日本では考えもつかない値段で売れることもあります。
英語に不安の無い方は、お仏壇の買い換えが終わり魂抜きが終わった段階で、出品してみてもよいかもしれません。
無料で使える掲示板サービスを使ってお仏壇・仏具・位牌などを手に入れる際の注意点
無料での物々交換などができるネット上のサービスとしては、ジモティーなどの掲示板サイトが有名です。
こちらを使えば、運が良ければタダでお仏壇・仏具・位牌などを手に入れることが可能です。
しかし、優良ユーザーを見つける手間や、商品を出品している地域の問題から、良い品を見つけるのは至難の業です。
人口・居住地域の問題から、良い品があっても回収できない場合がある
無料でやり取りできるということは、間に配送サービスなどをはさんでいないということでもあります。
よって、せっかく良い品が見つかっても、自分が住んでいる地域から遠い場合、自ら取りに行けずにあきらめるケースも出てきます。
また、人口の少ない地域であれば、相対的に取引の数も少ないため、出品の絶対数が限られてきます。
利用する場合は、自分の居住地域を考慮して選ばなければなりません。
そもそも件数自体が少ない
掲示板サイトは、サービス利用者の想像力によっていかようにも使えるはずですが、やはり常識的に見てお仏壇を譲る・譲られるという発想は少ないようです。
中には使わなくなったお仏壇が欲しいというユーザーも見受けられますが、やはり件数自体が全国的に見て少数です。
先に挙げた地域性の問題も鑑みると、手に入れられる地域はそれ相応の人口を抱える都道府県に限定されてしまうでしょう。
【無料=責任がない】という勘違い
無料掲示板サイトを使う際に注意したいのは、ユーザーのモラルはフリマアプリ・オークションサイトを使用するユーザーに比べて低いという現実です。
メールを送っても反応がないのは序の口で、譲渡の話がまとまってからトンズラするユーザーに遭遇したり、宗教などの勧誘が始まったりするケースもあるようです。
全てのサービスがそうであるとは言いませんが、お金を介さない場合こそ慎重に取引することを心がけましょう。
おわりに
メルカリ・ヤフオクなどのサービスは、ネット社会のインフラが整うにつれて、次第に市民権を得ています。
実際、多くの方が個人的な使用のアパレルや日用品、雑貨などは多くメルカリやヤフオク、ジモティーなど活用しているかと思います。
しかし、出てきてまだ新しいサービスという事もあり、色々なトラブルなども目につきます。
100%信用できる出品者ばかりとは限らず、直接会ってやり取りできず、実物を確認できなかったりするデメリットと向き合わなければなりません。
通販で買うのとあまり変わらないと考える人もいますが、通販はしっかり特定商取引法など法的なものを企業・個人は守って販売しています。
個人間販売の場合、相手のことが何もわからないまま取引完了する事もあり、取引後連絡が一切取れないといった事もありえます。
お仏壇や仏具はどちらかといえばフリマやオークションなどでも高額商品に分類されます。
数百円で買えるような普段使うような線香などであれば別かもしれませんが、お仏壇や各種仏具はそういう値段で売ることはできません。
どうしてもフリマ・オークションでしか手に入らないものや、明らかに格安であることが分かっている商品以外は、極力手を出さない方が結果的に良かったという事になります。
安物買いの銭失いという言葉にもあるように、安さを探すにしても専門通販サイトなどを探すなど、しっかりとしたお店の中で安めのお仏壇や仏具を買うのがおすすめです。
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