買ったら終わりというわけではない?
朝や昼や夜などお仏壇の毎日のお参りについて
お仏壇を初めてご自宅にお迎えしてから心配になるのが、毎日のお参りのことです。
実家などに安置されているお仏壇については、朝昼夕とねんごろに供養を行うイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、毎日お仏壇をお参りする際の基本的な心構えから、各宗派ごとの作法についてご紹介していきます。
お参りの基本的な心構え
新仏が出た後、お仏壇の準備が整ったら、ご本尊・ご先祖様をお祀りすることになります。
その際、気を付けなければならないことは数多くありますが、何よりも大切なのは心構えです。
毎日の習慣になりますから、今日はモチベーションが上がらないからお参りしない、ということにはならないのです。
お仏壇を祀り、毎日礼拝するということは、日常の一コマでありながらも非日常に一歩足を踏み入れる行為になります。
言わば、ご本尊となる仏様がいらっしゃる世界へと意識を向ける瞬間になるのです。
そのため、どの宗派であってもお仏壇の中心にご本尊が存在する形になっています。
宗派によってご本尊は異なり、祀り方にも違いが存在します。
それらの一つひとつに、宗派ひいては開祖の深い教えが込められています。
ご先祖様と一口に言っても、数多くの年代に数多くの方々が存在していたわけですから、現代と過去世とをつなぐ共通項となるのが作法と言えます。
教えのもとに行う礼拝と、気持ちだけの礼拝では、やはりその質は明らかに異なります。
基本的な作法だけでなく宗派の違いについても理解を深めることで、自然と心がけも変わってきます。
自らを清めるつもりで、毎日のお参りに備えましょう。
お参りを行うのは先祖供養のため
お仏壇を礼拝するのは、ご利益があるからでもなく、御仏に近づくためだけでもありません。
何よりも、この世に生を与えてくれたご先祖様への感謝の気持ちが大切です。
ご本尊へお祈りするのも、ご先祖様を宜しくお頼み申しますという気持ちをこめることで、成仏を祈る意味合いがあるのです。
宗派のしきたりや形式を知り、その中で教えを学び、御仏の慈悲や智慧を知ることで、初めて礼拝する意味が生まれます。
それらは全て、ご先祖様と現世で生きる者とをつなぐ橋となり、御仏を介してご先祖様に届きます。
感謝の気持ちをこめて礼拝することを、いつでも忘れないようにしましょう。
入仏式とは
新しくお仏壇を購入した場合は、仏壇開きとして入仏式を行います。
一般的には開眼供養(かいげんくよう)などと呼ばれるものになります。
具体的には、菩提寺の僧侶に来てもらい、ご本尊を祀ったお仏壇にお経をあげてもらう行事を指します。
一般的には、四十九日忌・忌明けの法要の際に一緒に行ってもらいます。
入仏式は、自宅に御仏を招く行為となりますから、おめでたい行事になります。
よって、その際に使うろうそくは白色ではなく、朱色のものを用意します。
当日は、菩提寺の僧侶を招き、読経をお願いします。
ねんごろに読経してもらうことになりますから、時間としては正味30分程度はかかることを想定しておきましょう。
その後、家族みんなで焼香を行います。
法要後の会食については、省略して差し支えありませんが、他に親族がいる場合は執り行っても構いません。
もし、法要の都合上、入仏式を菩提寺で行う場合は、ご本尊のみを菩提寺に持参します。
自宅にご本尊を持ち帰ったあと、改めてお線香をあげ、礼拝という形になります。
入仏式のお布施についてですが、単独で行ったか、他の法要と併せて行ったかによって金額が異なります。
単独の場合は通常の法要と同様、他の法要と一緒に行った場合は、一般的な法要の半額程度の金額を包みます。
相場については、地方によって異なるため、近所に相談するなどして決めると間違いがありません。
もし、他家の入仏式に招かれた場合は、出欠の連絡は必ず行いましょう。
服装は他の法要同様にして構いませんが、先程ご紹介した通り、入仏式はおめでたい行事になります。
よって、単独で行われる場合は、ブラックスーツではなく通常の外出着でも問題ありません。
供物は、生花や果物・菓子といった、一般的な法要の際に用意するものに準じます。
入仏式や開眼供養などは下記にてより詳細に解説していますので、そちらもご参照ください。
- お仏壇の開眼供養/仏壇開き。事前準備や当日の服装・流れと御布施など
- お仏壇で間違えやすい1つに家具のように買って置いて終わりと考えてしまうことです。 実はお仏壇の場合、新しく購入したあとにはそのまま設置して家 …
毎日の御供え・お勤めのタイミング
お仏壇を持った際に、気になるのが御供えのタイミングです。
朝・昼・夕と行うのかなど、初心者にとっては分からないことが多いものです。
結論から言えば、仏前に供える仏飯・茶もしくは水・お花などの御供えは、家族の朝食前に行います。
その際、お仏壇に枯れて散った花・葉っぱなどが落ちていないかをチェックします。
ほこりが無いかや、ご本尊・位牌の位置がずれていないかどうかも確認しておきましょう。
お勤めの数については、多くの宗派では朝・夕が基本になります。
しかし、一人世帯などの理由から、忙しい現代においては朝のみのお勤めしかできないという方も少なくありません。
その場合は、法要を丁寧に行うなどして、まとまった時間を取ってお参りする時間を増やすよう工夫しましょう。
お仏壇の扉の開閉について
お仏壇の扉を常時開け放しているご家庭は多いですが、原則として通常は開けておくものではありません。
二重扉の場合、内側の扉は基本的に閉めておくものです。
そして、夜寝る前には外側の扉も閉めます。
ただし、一重の扉の場合は、昼間も開け放しておいて構いません。
そして、夜のお勤めが終わったら、扉を閉めましょう。
多くのご家庭では、菩提寺からは朝のお勤めのみでよいと指導されている場合が多いようです。
そのため、夜寝る前に軽くお祈りした後、扉を閉めるのが一般的と言えるかもしれません。
鈴(おりん)を鳴らすことについて
鈴は、礼拝時に必ず鳴らすものではありません。
時折、各家庭のお仏壇にお参りする際、挨拶代わりに鈴を鳴らす人がいますが、あれは正しい作法ではありません。
鈴を鳴らすのは、正式にはお経を読む前になります。
線香をあげた後に鳴らす回数も、宗派によって異なります。
お経によっては、読んでいる際に鈴を鳴らす箇所を「●」で教えてくれているものもあります。
あくまでも、お経を読む際の補助的な役割を担っているというのが、本来の考え方です。
そのほかの作法として、新仏が出てから百か日忌を迎える前は、鈴を鳴らしてはいけないというものがあります。
意外かもしれませんが、日常的に鈴を鳴らす機会というものは、もともとはそれほど多くなかったのです。
おりんの詳細については、下記にも解説をしておりますので、そちらも参考ください。
- 仏具の鈴(リン・おりん)の意味や役割と鳴らし方の注意点
- 仏具のリンと言えば、見ればわかるという位に多くの人に馴染みのある仏具の1つです。 お仏壇や仏具の事を何もしらなくても、この仏具の事は聞いたり …
ろうそくを灯す・消すタイミング
ろうそくは、一日中灯すことを想定しているものではありません。
灯すタイミング・消すタイミングがそれぞれあります。
まずは灯すタイミングですが、お勤めを始める際になります。
その後線香をあげ、合掌・礼拝します。
「南無阿弥陀仏」などの称名や「南無妙法蓮華経」といったお題目を唱えたのち、お経をあげます。
各宗派ごとの上記のようなお勤めが終わったら、ろうそく消しを使ったり手であおぐなどして、火を消します。
各宗派ごとのお参りについて
ここまで、各宗派共通の一般的な作法をご紹介してきました。
ここからは、各宗派特有の作法についてお伝えしていきます。
天台宗
天台宗の在家信者が行うことで有名なのは、いわゆる「朝題目、夕念仏」と呼ばれる流れになります。
具体的には、朝は法華経を中心に、夕方は阿弥陀経を中心にお経をあげるというものが日課です。
しっかりとお勤めを果たすのであれば、以下の流れでお唱えの文句やお経を読む必要があります。
一例として、朝のお勤めの流れを記します。
- 三礼(さんらい)
- 三帰依文(さんきえもん)
- 奉請(ぶじょう)
- 表白(ひょうびゃく)
- 懺悔文(さんげもん)
- 開経偈(かいきょうげ)
- 法華経の「寿量品偈(じゅりょうぼんげ)」
- 法華経の「普門品偈(ふもんぼんげ)」
- 十如是(じゅうにょぜ)
- 円頓章(えんどんしょう)
- 般若心経
- 舎利礼文(しゃりらいもん)
- 本覚讃(ほんがくさん)
- 三帰三竟(さんきさんきょう)
- 菩薩戒経偈(ぼさつかいきょうげ)
- 結願(けちがん)
- 総回向文(そうえこうもん)
ここまで挙げましたが、多くのご家庭では忙しく、ここまで丁寧なお勤めは難しいと思われます。
そのため、これらのいずれかを選んで唱える形でも構いません。
また、分派によって作法が異なる場合がありますから、一度菩提寺に相談することが大切です。
お仏壇に向かう前には、手を洗って口をすすぎ、服装を整えてから正座します。
軽く一礼した後、ろうそくに火をつけます。
線香は一本ないし三本を立てて香炉にさします。
その後、左手に数珠を持ち、静かに合掌・礼拝します。
そして、お経等を軽くいただいたら、左手に乗せて読みます。
鈴を鳴らすタイミングですが、お勤めを始める前に二回、途中でお経の終わりに一回、最後に三回鳴らします。
お経を読む速さの目安は「雨だれ打ち」と呼ばれ、雨だれが均等の早さで落ちるように、規則正しく読みます。
木魚を打つ際も同様で、強弱やリズムを付けず、同じ強さで打つようにします。
真言宗
真言宗のお勤めを考える際は、六波羅蜜(ろくはらみつ)の考え方に思いを馳せる必要があります。
六波羅蜜とは、菩薩が仏になるために課せられた修行のことを指し、下記がその内訳になります。
- 布施(ふせ)
- 持戒(じかい)
- 忍辱(にんにく)
- 精進(しょうじん)
- 禅定(ぜんじょう)
- 智慧(ちえ)
お勤めはその中の「精進」にあたり、信者も菩薩と同様、善行を努めて積んでいくことが大切だと考えられています。
具体的な作法ですが、真言宗の各宗派ごとに「在家勤行(ざいけごんぎょう)法則」という決まりがあります。
よって、菩提寺の住職に相談するのが近道です。
真言宗の御供えにはいくつか特徴があります。
先程ご紹介した六波羅蜜に当てはめた、六種類の御供えを欠かしません。
具体的には、下記を指します。
- 閼伽(あか)
- 塗香(ずこう)
- 華鬘(けまん)
- 焼香(しょうこう)
- 飲食(おんじき)
- 灯明(とうみょう)
分かりにくい表現がありますが、閼伽は浄水を、塗香は身体に塗るお香を、華鬘はお花を指しています。
お勤めの際には必ず、この六種類の御供えを整えることが重要視されています。
在家の場合は、朝・夕二回のお勤めが必要です。
線香は香炉に三本立てます。
これは、身・口・意の三密を示しています。
合掌する際は、一般的な合掌のほか、合わせた右手の指が上に来るよう互い違いに合わせる合掌もありますから、菩提寺に詳細を確認するようにしましょう。
浄土宗
浄土宗の特徴は「専修念仏(せんじゅねんぶつ)」になります。
南無阿弥陀仏と念仏を唱えることにより、阿弥陀仏の徳を得て、極楽浄土へと往生することが最終目標となります。
したがって、念仏を唱えることが最重要課題と言っても過言ではありません。
分派によって多少の違いはありますが、朝のお勤めの流れは以下の内容になります。
- 香偈(こうげ)
- 三宝礼(さんぽうらい)
- 三奉請(さんぶじょう)
- 懺悔偈(さんげげ)、十念(念仏を十回唱える)
- 開経偈(かいきょうげ)
- 「無量寿経」の「四誓偈(しせいげ)」など
- 回向文(えこうもん)、十念
- 一枚起請文(いちまいきしょうもん)
- 摂益文(しょうやくもん)
- 総回向文、十念
- 総願偈(そうがんげ)
- 三身礼(さんじんらい)
- 送仏偈(そうぶつげ)
天台宗などと同様、ここまでの時間を確保することが難しい場合は、毎日お仏壇に向かって「南無阿弥陀仏」と唱えるだけでも問題ありません。
浄土宗では、お勤めの際の線香の本数に特段決まりはありません。
心をこめて御仏に御供えします。
抹香の場合は、指につまんだ抹香を軽く額におしいただいてから香炉に入れます。
こちらの回数にも決まりはありません。
浄土真宗
浄土真宗の場合は、大きく分けて本願寺派と大谷派の東西で作法が分かれています。
以下に、それぞれの場合についてご紹介します。
本願寺派
浄土真宗本願寺派においては、阿弥陀如来に全幅の信頼を寄せています。
念仏を唱えることにより、誰もが皆浄土へと往生できると説かれています。
この考え方は「他力浄土門(たりきじょうどもん)」と呼ばれ、自分には何もできず、阿弥陀如来様に全てをお任せするという自覚を示した言葉になります。
阿弥陀仏に今日一日を生かしていただいていることに感謝し、心をこめて祈ることが、毎日のお勤めにおいては大切であるとの考え方を持っています。
以下に、朝のお勤めの一例をご紹介します。
- 合唱礼拝
- 正信偈(しょうしんげ)
- 和讃六首(わさんろくしゅ)
- 御文章(ごぶんしょう)
- 領偈文(りょうげもん)
これらの経典等を唱えるほか、南無阿弥陀仏と名号を唱える回数については、特に決まりはありません。
線香は立てずに、適当な長さに折って香炉に横にして寝かせます。
よって、折った後に火をつけ、そのまま香炉に寝かせる形になります。
抹香の場合は回数は一回と決まっており、おしいただく必要はありません。
香はあくまでも自分自身の心身の汚れを清めるためにあるとされているからです。
ほかには、御仏に御供えする仏飯は、仏飯器に山盛りに盛るという作法があります。
大谷派
真宗大谷派においては、お仏壇の礼拝の意味として、御仏への感謝を第一に挙げています。
供養の意味合いも大切ではあるけれど、御仏の言葉を聞く心で向き合うことを信条としています。
作法についてはさほど本願寺派と変わりはありませんが、やはりいくつか違いがあります。
まずは、基本的なお勤めの作法についてご紹介します。
- 合掌
- 正信偈(しょうしんげ)
- 念仏和讃(ねんぶつわさん)
- 回向文(えこうもん)
- 御文(おふみ)
このお勤めを朝夕行うのが、正式な作法となります。
このほか、真宗大谷派で特徴的なのが、法要の際の焼香です。
正座してご本尊を仰ぎ見て、右手の指で香をつまみます。
香は額におしいただかず、香炉に入れます。
焼香の数は二回と決まっており、焼香が終わった段階で合掌し、頭礼します。
また、本願寺派との違いとして、仏飯器へのご飯の盛り方が挙げられます。
盛槽と呼ばれる型にはめてご飯を抜き、円柱形に盛るのがしきたりになります。
臨済宗
臨済宗は禅宗のため、座禅同様の境地にて心を整えることが重要です。
御仏と自分が一体になるため、合掌などの基本的動作も無心で行うことが理想とされます。
そのため、本来自分自身が備えている仏心を見つけるために、日々のお勤めを行うという姿勢になります。
在家信者のお勤めは、基本的には朝夕二回となります。
以下に、朝の場合の作法をご紹介します。
- 起床後顔を洗い、口をすすぎ、身なりを整え仏前に正座
- ろうそくに火を灯し、線香に火をつける ※数は一本以上
- 鈴を三回鳴らして合掌
- 般若心経
- 消災呪(しょうさんじゅ)
- 本尊回向
- 妙法蓮華経の「観世音普門品偈(かんぜおんふもんぼんげ)」
- 先祖回向
- 四弘誓願文(しぐせいがんもん)を三回唱える
- 合掌礼拝
上記のような作法となります。
なお、焼香の作法は真宗大谷派と少々似ており、抹香を使う場合は、香炉にくべる際におしいただかず、一回だけくべるようにします。
曹洞宗
曹洞宗の開祖である道元は、作法をこと細かく決め修行の一環としました。
そのため、臨済宗に比べると作法が重んじられる傾向にあります。
特徴的なのは、お勤めに入る前に本格的な座禅に取り組むような作法があることです。
最初に、新しく入れたお茶もしくは浄水と仏飯を御供えします。
お仏壇の前で正座し、両手を下腹の位置で組み、腹式呼吸で深呼吸します。
この動作を二~三回行い、心を落ち着かせて初めて、供養の開始となります。
数珠を左手にかけたら灯明を灯し、線香一本に火をつけます。
線香は、一度おしいただいてから香炉に立て、その後合掌し、三回低頭礼拝します。
礼拝後、経本をおしいただいてから開き、鈴を三回鳴らした後で、読経に入ります。
以下に、朝のお勤め時に読むお経を、順番と併せてご紹介します。
- 開経偈(かいきょうげ)
- 懺悔文(さんげもん)
- 三帰礼文(さんきらいもん)
- 三尊礼文(さんぞんらいもん)
- 般若心経
- 本尊回向
- 修証義(しゅしょうぎ)
- 先亡精霊回向文(せんもうせいれいえこうもん)
- 四弘請願文(しぐせいがんもん)
- 読経後、合掌礼拝
基本的には、上記の流れで行います。
形式に則って行うと、気持ちが引き締まる反面、最初のうちはなかなか時間がかかってしまうかもしれません。
もし、時間に余裕があまり無い場合は、お茶や浄水を御供えし、線香を立てた後、合掌して「南無釈迦牟尼仏(なむしやかむにぶつ)」と三回唱えるという方法があります。
心を落ち着けることができたなら、お仏壇に向かって合掌するだけでも差し支えありません。
不安に感じた場合は、普段のお勤めについて菩提寺に一度相談し、できることから始めましょう。
日蓮宗
日蓮宗の性格を示すものに「お題目」があります。
宗祖である日蓮が信者に説いたのは、三つのお勤めを守ることです。
ご本尊にお仕えすること、お題目を唱えること、法華経の教えをさらに進めた「法華正法(ほけしょうほう)」の理想を具現し、仏国土の建設に努力することが挙げられます。
お仏壇の話にもかかわらず、話のスケールの大きさに驚いた方もいるかもしれませんが、このような考え方が後の日蓮宗系の宗教団体が発生する遠因ともなりました。
日蓮自体が、多宗派に喧嘩を売ったような恰好となり、迫害されながらも布教を進めたことも、その教えのルーツとして息づいています。
三つのお勤めの中でも最も重要視されているのが「お題目」であり、これを毎日熱心に繰り返せば繰り返すほど、行が深まるものとされています。
具体的には「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」という題目をひたすら唱えるお勤めになります。
これを踏まえたうえで、朝のお勤めの流れをご紹介していきます。
- お仏壇にお茶・仏飯を御供えする
- 線香を一本もしくは三本立て、正座合掌する
~以下、お経の名称を挙げる~ - 開経偈(かいきょうげ)
- 妙法蓮華経の「方便品(ほうべんぼん)」
- 如来寿量品(にょらいじゅりょうぼん)
- 運想
- 「南無妙法蓮華経」のお題目を唱える(十遍・三十遍・百遍と繰り返す)
- 宝塔偈(ほうとうげ)
- 一般回向文(亡くなった誰かの命日の場合は追善回向文)
- 四誓
- 題目を三唱
以上が本式の作法の一つになります。
このほかにも、菩提寺によって異なる作法があり、かなり複雑なお勤めになる場合があります。
時間的に厳しい場合は、如来寿量品の「自我偈(じがげ)」とお題目を唱えるだけでも良いとされています。
大切なことは、お勤めを毎日勤めること、お題目を唱えることだということを忘れずに、自分にできる範囲で始めましょう。
まとめ
お仏壇の毎日のお参りは、各宗派それぞれにお勤めの作法があり、なかなか全てを限られた時間の中で行うのは難しいものがあります。
それゆえ、略式の方法も少なからず認められており、在家信者が取り組みやすいよう工夫されています。
とはいえ、週に一度でも良いので正式な作法で供養に取り組むと、自分の心が洗われるような体験ができます。
もちろん、丁寧な供養を受けて、ご先祖様もお喜びになることでしょう。
一つひとつの作法に込められた意味を紐解きながら、自分の身体に作法を染み込ませていく過程は、巡りめぐって自らの徳を高めることにもつながります。
子孫は祖先の霊に気持ちを伝えていくことの大切さを、一人でも多くの日本人が引き継いでいきたいものですね。
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