普通の仏壇仏具で良い?その選び方は?
意外と知らない新興宗教のお仏壇や位牌の選び方について
芸能人が新興宗教に入信して話題になるケースは多く、お寺の檀家にはならず、新興宗教への入信を考える人も少なからず存在しています。
世界的に有名な創価学会は公明党の母体であり、今や日本で与党となっているほどです。
今後、新興宗教への入信者は増えるものと想定されますが、そこで問題になるのは「ルール」です。
普段のお勤めなど、今まで自宅にあったお仏壇が使えるのか、新たにお仏壇を購入する場合はどのようなことに注意すべきなのかなど、各宗教によって違いがあります。
そこで今回は、新興宗教という点にスポットを当てて、それぞれの宗教におけるお仏壇や位牌などの必要性についてご紹介します。
幸福の科学
幸福の科学は、年々信者数を世界中で増やしている新興宗教の一つです。
仏教の宗派から派生した宗教ではなく、総裁の大川隆法氏を「エル・カンターレ」として信仰対象とする宗教です。
しかし、教義の中に三宝帰依(さんぽうきえ)の考え方が含まれていることから、仏教的な要素も教義に含まれていると推察されます。
そのため、専用のお仏壇自体が市販されているといったことはないものの、お仏壇・御本尊に相当するものは販売されているようです。
家庭用の仏像に相当するものとして、教祖エル・カンターレ像というものがあり、300万円ほどのお金がかかるようです。
その他、大川市の写真が埋め込まれた御本尊も何種類か存在しており、それを「祭壇」と呼ばれる棚に設置します。
この祭壇が、お仏壇に相当するものと考えてよいでしょう。
実際の値段については、自宅に安置するものが100万円ほど、携帯型のもので10万円ほどと言われています。
しかし、市場に出回っているものではないため、詳細は各地域にある支部に確認が必要です。
御本尊・祭壇などはあくまでも任意で購入するものであり、公式サイトで通販などが行われている様子は確認できません。
しかし、実際に活動されている方の多くは、少なからず購入を決めているようです。
立正佼成会(りっしょうこうせいかい)
立正佼成会は、仏教の経典「法華経」の教えをベースにした新興宗教です。
法華経の教義に従い、自己の内面を修養することによって救われるという特色を持っており、自宅では朝夕のご供養を行います。
立正佼成会においてお仏壇は「ご宝前」と呼ばれ、ご宝前やそれに付随する仏具などを販売している専門店も存在しています。
シンプルかつコンパクトなものから、椅子に座ってご供養ができる大型のものまで様々です。
ご宝前上段に安置するのは御本尊で、両隣に法号・戒名なども安置する形になります。
このとき、一般的な宗派とは違って位牌は用いず、掛け軸や名立てと呼ばれる板を用います。
ちなみに、ご宝前を用意できない場合は、三面式と呼ばれるご宝前がコンパクトになったものと台座を使って、御本尊を安置します。
リンや香炉など、普段のご供養に必要な仏具も別途用意する必要があります。
顕正会(けんしょうかい)
顕正会は、正式名称を富士大石寺顕正会と言い、日蓮正宗から破門された「妙信講(みょうしんこう)」と呼ばれる組織が前身となっています。
しかし、こちらは必ずしもお仏壇を用意する必要はないようです。
顕正会において重要な意味を持つ行として、遥拝勤行(ようはいごんぎょう)というものがあります。
これは、静岡県富士宮市・大石寺に安置されている御本尊に向かって行う、朝夕の勤行を指しています。
法華経の勤行と、お題目を唱えることがセットになっていて、基本的には経机に三具足を安置して勤行に臨みます。
経机・お仏壇については市販されてはいないものの、事務所で申し込みができるようです。
公式サイトでは販売されていないため、必要と感じた場合は事務所経由で相談する必要があります。
経机には三具足が用いられますが、一般的な三具足とは用意する種類が違います。
お燈り(おともり)・香・樒(しきみ)を経机に載せ、御本尊を拝みます。
霊友会(れいゆうかい)
法華経研究に始まる在家系の新興宗教です。
両家の先祖供養を大切にするという考え方が特徴であり、総戒名(そうかいみょう)という概念を祀ることで、両家の先祖を祀ります。
しかし、総戒名を前に経典の読誦をすることに対して、お坊さんに多額のお布施を支払うといったことはなく、本質的にはお金をかけるタイプの宗教ではありません。
高価な専用仏壇・仏具などを購入する必要はなく、月会費も一人当たりで考えると安いです。
霊友会における基本的な先祖供養のやり方は、事前に分かる限りの先祖の名前を伝え、総戒名を教団本部に付けてもらった後、先祖の法名を命日ごとに記した「霊鑑(れいかん)」というもの総戒名と一緒に祀ります。
総戒名・霊鑑の前には、コップに入れた水・線香・ロウソク・花・お供え物を置きます。
ここからが少し特徴的で、霊友会独特の白地のタスキをかけて、朝夕30分ほどお経とお題目を唱えます。
ちなみに、総戒名と霊鑑をお仏壇に安置することも可能であり、特段お仏壇の指定はないようです。
どうしても何を選ぶべきか不安に感じてしまうようであれば、他の信者の方から意見を聞いてみるのもよいでしょう。
佛所護念会教団(ぶっしょごねんかいきょうだん)
日本を代表する歌手・北島三郎さんも入信していると言われる教団で、こちらも法華経の教えを信仰する宗教団体です。
公式サイト上では、寄付や賽銭に頼らず、月々の会費で運営されている教団と説明されています。
先祖供養が基本となっている点は霊友会と同様で、自宅では経巻・たすき・念珠などの仏具を最初に購入します。
会費は一世帯一ヶ月につき300円となっています。
ただし、お仏壇や御本尊については市販されているものを用いることはないため、基本的には教団側の説明に従って必要なものを買い揃えることになるでしょう。
天理教
奈良県天理市に本部神殿を置いている新興宗教で、甲子園に出場する天理高校などの効果もあってか、非常に有名な新興宗教の1つと言えます。
新興宗教とは言え、実は歴史は非常に古く、創始は1838年となっています。
日本における新興宗教の多くが法華経を介しているのに対し、天理教は教派神道の一種としての性格を持っています。
よって、天理教ではお仏壇ではなく神棚を用います。
一般的な神道の神棚とは違い、下部に収納棚を付けたものが用いられます。
また、お供え物を備えるルールも厳密に決まっていて、三宝と呼ばれるお供え物を載せる神具も棚に多く載せるのが特徴的です。
大きな神棚を置けない場合は、簡易祭壇を用いてお供えをすることもできます。
また、家具の上に載せるケース型の神棚も販売されています。
神棚を使う点が他の新興宗教と異なるものの、それ以外にもいくつか相違点があり、神具も天理教独特のものが多数存在します。
代表的なものとして、拍子木(ひょうしぎ)・チャンポンなどが挙げられます。
天理教では「みかぐらうた」と呼ばれる地歌(ぢうた)によって、お経ではなく鳴物(なりもの)を使った音律に合わせ、手足を動かしてお勤めを行います。
そのため、音を鳴らす神具が必要になります。
楽器として太鼓や雅楽器なども用いますが、これは神殿などで使うケースがほとんどのため、一般信者が必要とするケースはないと考えてよいでしょう。
位牌については、天理教は神道系のため用いません。
しかし、故人には「諡名(おくりな)」を付けるため、白木の卒塔婆のような形をした「御霊代(みたましろ)」を用います。
初めて準備をする場合、他の宗教と比較して独特な名称のものが多いため、先達に確認することをおすすめします。
PL教団(パーフェクト・リバティー教団)
PL学園野球部の活躍で有名なPL教団は、1946年に興った新興宗教です。
また、毎年8月1日に行われる夏の名物行事として行われているPL花火はPL教団の祭礼でもあり、日本有数の花火大会として多くの人が賑わいます。
特定の宗教を大元とするのではなく、自然法則・万象の根源を神と認識し、その神霊を拝する宗教です。
特段PL教団のみを信仰することが義務付けられているわけではなく、籍を置きながら別の宗教を信仰している人もいるようです。
比較的自由度の高い宗教であることから、神棚やお仏壇は市販のもので問題ないと考えられています。
真如苑(しんにょえん)
真言宗系の新興宗教で、出家在家関係なく誰もが修行できる信仰の方法を体系化した宗教の一つです。
大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)をベースにした実践的な信仰が組み立てられ、人々に寄り添う宗教として理解されています。
真如苑における基本的な行いには、お歓喜(おかんぎ)・お救け(おたすけ)・ご奉仕の三本柱があります。
具体的には、御布施や伝道・早朝の清掃などといった行為が尊ばれます。
朝夕のお勤めとしては、真如苑独自のお経文・真言を読み上げるというものがあります。
信徒になる場合、登録会費・月額会費をそれぞれ200円支払った後、襟袈裟・念珠・教書・経典を買い揃えます。
公式サイトを見る限り、特段お仏壇や仏具の種類にこだわりがあるわけではないため、真言宗系のお仏壇を購入しておくのが無難です。
また、御本尊は「大涅槃尊像」と呼ばれ、釈迦如来が横になった姿のものが用いられます。
もし、お仏壇を置けるスペースがない場合、旅行に持って行くための小型仏壇なども手に入るため、事務所などに相談してみるとよいでしょう。
世界救世教(せかいきゅうせいきょう)
手かざしによって病気や不幸をなくせるという「浄霊(じょうれい)」・独自の無農薬農法である「自然農法」で有名な新興宗教です。
複数の会派があることで知られ、世界救世教から新たに独立して誕生した教団もあります。
各派によって教義などに違いはあるものの、基本的には柔軟な考え方を持つ宗教で、既存のお仏壇・神棚などをそのまま使って祭祀が行えます。
仮に今までお仏壇などを持っていなかった場合は、世界救世教の祭式に則って先祖供養が行われます。
開祖の岡田茂吉氏は、亡くなった人が生前信仰していた宗教を改宗することはできないという立場だったため、宗派・宗門を問わない観音様を位牌とともにお仏壇にお供えしていたそうです。
よって、基本的には現在市販されているもので賄えると考えてよいでしょう。
崇教真光(すうきょうまひかり)
岐阜県に所在を構え、御親元主真光大御神 (みおやもとすまひかりおおみかみ)を信仰する新興宗教です。
健康・平和・豊かさを幸福とし、幸福になることを人生の目的としています。
原則として、独自のお仏壇を用意することになっているようですが、現状は安価なお仏壇を購入すれば問題ないとされています。
また、位牌を作って食事を備えることが先祖供養に必要であると考えられているため、お仏壇はないよりはあった方がよいでしょう。
おわりに
以上、新興宗教のお仏壇・位牌についてご紹介してきました。
新興宗教が、そもそもどの宗派を母体としていたかによって、必要となるお仏壇・仏具が変わってきます。
また、神道系の宗派は用意するものが独特なため、その点にも注意が必要です。
その反面、教義を優先してお仏壇・仏具をあまり重要視しない宗教もあります。
入信を検討する際は、先に入信している人に相談した上で、無理のない範囲で準備をすることをおすすめします。
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